自然はそのまのときが一番美しい

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このみ言は、真のお母様の自叙伝「人類の涙を拭う平和の母」の内、一部を抜粋、整理したものである。<編集者注>

一艘(いっそう)のボートが、けたたましいエンジン音を鳴らしながら、青々とした川の流れをかき分けて進んでいます。エンジンこそ付いていますが、ひどく古びたボートです。一人が急に立ち上がると、ボートがぐらつき、そこら中から悲鳴が上がります。ひょっとして沈みはしないだろうか、と瞬間的に恐怖に襲われるのです。揺れが収まり、もう大丈夫だろう、と安堵(あんど)したのも束(つか)の間、また誰かが突然、声を上げます。 「うわっ、これは何だろう」

大きな魚が一匹、水の上を飛び跳ね、甲板にドスンと落ちたのです。鋭い歯を何十本も覗(のぞ)かせるその魚は、熱い日差しの下で跳ねています。そばにいた二、三人が怯えて後ずさると、同乗していた先住民が長い棒でその魚を拾い上げ、川の中に戻してやります。 「驚きました。何という魚ですか?」 「ドラドといいます」

ブラジルのジャルジンの川には、奇怪な魚が数え切れないほどたくさんいます。南米は、いつも春か夏の気候であり、常に花が咲き、食べ物も豊富です。そこは、人間が暮らす上で最も良い地であると同時に、あらゆる動物と植物が共生している所なのです。

緑豊かなその地は、動物や植物と共に生きていく地上の楽園です。その楽園の中でも最初にモデルとなり得る地が、ジャルジンです。 原生林と湿地から成るこの巨大な奥地は、生命の楽園と呼ばれる地域で、多くの生き物が生息し、最も自然が躍動している土地です。鳥や昆虫、魚がどれほど生息しているか、自然がどれほど生き生きとしているか分かりません。ジャルジンをはじめ、その周辺地域には湖のように澄んだ川が流れ、二十以上の滝があります。

私たちがジャルジンを訪れたのは、一九九四年の十二月でしたが、ブラジルは真夏の気候でした。ジャルジンの地に着くと、そこはどこまで行ってもアリの巣ばかり見える平原でした。その月は禁漁期間でしたが、私たちは警察の保護を受けながら、川で釣りの修練を行いました。日差しが強くなってくると、警官は川に入って仰向けにプカプカと浮かびながら、私たちが魚を釣る様子を不思議そうに見守っていました。 昔から、ジャルジンには「主が来る所」という預言が伝えられていました。パラグアイ川やアマゾン川は、奇怪な木々や蔓(つる)、巨大な樹木が絡み合っており、体をかがめてようやく抜け出せるような、危険な場所ですが、私たちは小さな船を頼りに、夜明けに出発し、猛暑と蚊の群れと闘っては、夜中に帰ってくるという極めて過酷なスケジュールをこなしました。一番大変だったのは、体を洗うことでした。狭い船の中で適当に衝立(ついたて)を立て、川の水で体を洗ったのです。

私は、そのような原始の自然がとても気に入りました。私たちはそこにジャルジン教育本部を建て、「ニューホープ農場」を造って、神の国を建設する実践の場としました。そこで最初に指導者修練会を開いた時は、修練所として、トイレや食堂すらない古びた簡易倉庫を使いました。この上なく不便な所でしたが、指導者たちをいつもそこに集め、生き生きとした体験ができる教育を行ったのです。汚染されていない、本然の自然の中で釣りと訓読をしながら、何の分け隔てもなく生活を分かち合う心情修練でした。

生態系がしっかりと保全されているジャルジンに農場を造った理由は、神様が太初に創造されたエデンの園を再現できるからです。そうして、そこに世界中の人々が集まり、自然と共に愛を感得しながら暮らすことのできる共同体をつくったのです。

もう一つの地上の楽園であるパンタナールは、神様が創造されたすべての生き物が、パラグアイ川を中心に、本然の姿のままで命をつないできた所です。魚をはじめ、動物、植物がすべて太初の姿のままなので、エデンの園とはまさにここのことではないだろうか、と深く感銘を受けるほどです。 そこではスルビ、パクー、カピバラ、レア、ワニ、ペッカリー(ヘソイノシシ)が気ままに、たくましく生きています。ピラニアは群れをなして泳ぎ、人にも危害を加えます。パンタナールは世界で最も大きな湿地であり、その一部がユネスコの自然遺産としてそのまま保全されているため、理想村を築くために選ぶことのできる唯一の土地でした。四方が危険に囲まれている環境ですが、これからの人類の食糧問題を解決するため、必要な場所でした。

中でも最も大変だったのは、チャコという地域です。そこはボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルにまたがるグランチャコの一部で、まさに奥地の中の奥地です。

一九九九年、私たちは日本の元老信徒に、チャコのプエルト・レダを開拓するよう頼みました。レダはチャコの中でも最も生活するのが不便な所でしたが、信徒たちは袖をまくり上げ、汗を流して働きました。数年もせずにそこは人と自然が美しく共生する所に生まれ変わり、誰もが住みたいと思う理想村になりつつあります。

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